太りにくい身体作りは嘘?有酸素運動と無酸素運動
食事制限だけでダイエットするとリバウンドしやすくなる原因にひとつは、基礎代謝の低下によるカロリー消費効率の低下と考えられています。基礎代謝を高めるには、無酸素運動による筋トレが効果的で、太りにくい身体になると言われています。しかし、これを面白くないと考えている人たちが存在します。太りにくい身体作りが本当は嘘なのか?あなたが判断して下さい。
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有酸素運動と無酸素運動の違い
有酸素運動は、糖質と脂質を酸素によってエネルギーにする運動です。
逆に、無酸素運動は、ATP(アデノシン三リン酸)をエネルギーにする運動で、酸素を必要としません。
- 有酸素運動;糖質・脂質・酸素をエネルギーにする運動
- 無酸素運動;APTをエネルギーにする運動
勘違いする人もいるかと思いますが、無酸素運動は呼吸をしないでする運動と言う意味ではなく、酸素を必要としない運動のことです。
簡単に言うと脂肪を燃焼させるのが有酸素運動で、筋肉をつくるのが無酸素運動と言うことになります。
有酸素運動は、長時間継続できる低負荷や中負荷の運動で、高負荷をかけて呼吸が乱れるほどの運動は無酸素運動です。
有酸素運動をしているつもりでも、呼吸が乱れるほどの負荷をかけると無酸素運動になってしまうと言うことです。
脂肪が燃焼される仕組み
有酸素運動で消費される脂肪は、体脂肪と血液中の脂肪です。
血液中の脂肪は、必要な時にすぐ使えるように流れ続けていて、すぐに使わなかった脂肪を脂肪細胞の中に体脂肪としてキープしています。
すぐに使わない栄養をとり過ぎると、どんどんキープされて肥満となります。
脂肪の消費は、血液中の脂肪が優先的に使われ、ある程度使い終わると、キープしていた皮下脂肪や内蔵脂肪が使われるようになります。
脂肪細胞の中にキープされた脂肪は、リパーゼ(lipase)と呼ばれる酵素群が細胞を分解して取り出します。
ある文献によると“普段の体温から1、2度上がった状態でしかリパーゼが脂肪を分解しない”とされており、体温を1〜2度上げるためには20分以上の有酸素運動が必要とされています。
ところが、最近の研究によると運動時間は積み重ねることが出来ると言うデータがあります。
1回30分の運動と1回10分の運動を3回行った場合を比較すると同じようにカロリー消費できるそうです。
無酸素運動が基礎代謝を上げる仕組み
無酸素運動は直接脂質を消費しません。
筋肉量が増えることで基礎代謝が良くなり、安静状態でのカロリー消費量が増えることから脂質を消費すると言われています。
基礎代謝は、何もしなくても消費されるエネルギーのことで、1日に消費するカロリーの60〜70%をしめていると言われています。
残りの30〜40%の内、20〜30%が活動誘発性熱産生で消費され、その残りの10〜20%が食事誘発体熱性産生によって消費されます。
基礎代謝の内40%は、筋肉で消費されていると言われています。
カロリー消費の内訳 | ||
---|---|---|
基礎代謝 | 60%〜70% | 何もしなくても消費されるエネルギー(内40%を筋肉で消費) |
活動誘発性産生 | 20%〜30% | 日常行動で消費されるエネルギー |
食事誘発性産生 | 10%〜20% | 消化・吸収する時に消費されるエネルギー |
基礎代謝で消費されるエネルギーが脂肪で、筋肉量が多くなることでより多くの脂肪を消費できると言うことです。
筋肉量は、除脂肪量(じょしぼうりょう)の約半分と言われています。
除脂肪量は体脂肪量を差し引いた体重で、下記のように算出できます。
体脂肪量 = 体重 × 体脂肪率
除脂肪量 = 体重 − 体脂肪量
あくまでも目安ですが、除脂肪量が増えると基礎代謝がアップしたと言えるでしょう。
筋肉量によるカロリー消費の効果
Elia(1992)の研究によると骨格筋が安静状態で使用するカロリーは、1kgあたり13kcalと公表されています。
これは、筋肉だけが1kg増えて、筋肉1kgあたりの代謝量に変化がなければ、基礎代謝量が13kcal増えると言うことです。
例えば、筋肉が5kg増えたとしても、たったの65kcalしか基礎代謝量が増えないと言うことです。
たいしたことないですね…
と言いたいところですが、よく考えて下さいね。
筋肉量が増えると言うことは、基礎代謝だけでなく活動誘発性産生も増えると言うことです。
筋肉量が増えるのですから、活動的になります。
足の筋肉量が増えたなら軽快に歩くことができます。
階段だってラクラク昇り降りできるでしょう。
少し動いただけで疲れることから有酸素運動が長続きしないのではないですか?
そして、運動しないことから筋肉量が減って、ますます脂肪がついたのではないですか?
もちろん、しっかり食事をとることができますので食事誘発性産生だって増えると言うことです。
やはり筋肉量を増やすと“カロリー消費効率の良い身体=太りにくい身体”になることが望めそうです。
まとめ
「基礎代謝を上げることに過度の期待をしない方が良い」と言う意見があります。
わたしも同感です。
ただし、基礎代謝の効果だけでなく相乗効果が生まれることは明らかで、太らない身体を作ることに間違いありません。
筋肉量を増やすことが、まさしく「太りにくい身体作り」と言えるでしょう。
そもそも、太らない体質ではなく太りにくい体質にするのです。
毎日、食べ過ぎると太るのは当然ですし、筋肉量を増やした後は何もしないと言う訳ではありません。
正しい運動と食生活を習慣つけることで効果は得られます。
さらに、筋肉量を増やして基礎代謝を良くすることが、成人病予防になることが解ってきています。
ダイエットメニューは危険!最も恐ろしい“サルコペニア肥満”でも説明しましたが、筋肉量は20代をピークに減少します。
ダイエットにとって有酸素運動・無酸素運動・食事のバランスは密接な関係にあります。
ダイエット=痩せるではありません。
ダイエットは、健康的でスリムなボディを手に入れることです。
どうか、基礎代謝アップの効果をおまけとは思わないで下さい。